新薬は、莫大な研究開発費を投入して開発し、商品化後、特許の保護下で研究開発費も含んだ利益を一定期間保護しています。しかし特許期間が過ぎると、その新薬と同じ有効成分を有する医薬品(ジェネリック医薬品)を製造することができます。ジェネリック医薬品は、その価格に研究開発費を含まないため、新薬と同じ有効成分を持ちながらも、より安価に提供することができ、経済性に優れています。
つまりジェネリック医薬品の存在は、特許期間終了後に、国民が等しくその恩恵を受けることができる共有の財産だと、中川ファーマシーは考えます。
日本における医療用医薬品の原薬の約 6 割はインドや中国などの海外で生産されていますが、海外で生産された原薬は先発医薬品にもジェネリック医薬品にも用いられています。海外で製造された原薬は、国内で製造された原薬と同一の検査基準を満たした原薬のみが認可されています。従って、日本の厳しい品質基準を満たさない海外で製造された原薬(品質が劣る粗悪な原薬)を用いた医薬品は、先発医薬品であれ、ジェネリック医薬品であれ、販売許可されていません。
お年寄りや子供さんが飲みやすいように、錠剤のサイズを小さくしたり、医薬品の苦みを軽減するため香りや甘味をつけたり、医薬品を飲むのが困難な方が、少量の水、又は水なしで飲めるようにするために錠剤を口腔内で崩れやすくしたり、またお年寄りが医薬品を安全に使用するため(取り違えないよう) に、錠剤自体に成分名(名前)を印刷したりするなど、ジェネリック医薬品にも様々な工夫が施されています。そのため、これまで多くのお年寄りや子供さんに積極的に使われてきた実績があり、ジェネリック医薬品は安心してご使用いただける医薬品です。
最近、医薬品への発がん性を有する不純物の混入の問題が発生しましたが、これは、ジェネリック医薬品に限らず医療用医薬品全体の問題であり、今や日本だけでなく世界共通の問題となっています。この背景には、科学の進歩、特に、分析機器の発達により、医薬品に含まれる微量成分の検出が可能になったことが考えられます。そのため、国(行政当局)において発がん物質の混入の許容基準などを明確に定め、製薬企業は原薬から製剤までの工程において徹底した品質管理を行い、混入回避対策を強化することで発がん性のある医薬品が市場に流通しないよう対応しています。万が一、基準値を超える発がん性物質の混入が認められる場合には、健康被害を回避するため、製薬企業は該当医薬品を迅速に回収します。
口から服用する医薬品は、通常、胃や腸で溶けて有効成分が吸収されることで効き目を発揮します。ジェネリック医薬品の場合、新薬(先発医薬品)と添加剤が違うことからその溶け方や吸収(能) が同等であることを証明する試験が、国の承認の際に必要となります。具体的には、先発医薬品とジェネリック医薬品を用いて、水及び胃・腸と類似の液性で有効成分の溶け具合を比較する試験(溶出試験)と血液中に移行した有効成分の濃度推移を比較する血中濃度同等性試験(生物学的同等性試験)が行われます。 こうした各種試験によって「溶け方」や「吸収(能)」が同等かどうかを厳しく確認しているため、添加剤が違ってもジェネック医薬品の溶け方・吸収(能)は新薬(先発医薬品)と同等です。
患者さんのお薬代の負担はもとより、国の医療費節減(国民皆保険制度維持)に寄与するジェネリック医薬品は、既に海外の主な国々でも広く使用されていますが、わが国のジェネリック医薬品には、患者さんの服用性・利便性及び品質・安定性を向上させたものがたくさんあります。苦みを生じる成分、薬を飲むのが困難な方に対する服用性を考慮した飲みやすい剤形、在宅における医薬品の保管を考慮した高品質な医薬品(「温度」「光」「湿度」に強く、長期間保管できるか確認された医薬品)など、これからの日本の超高齢社会における医療において重要な役割を果たすことが大いに期待されます。